死刑判決

光市母子殺害事件のことと、死刑について。


なんとも複雑で、言ひやうがない。
日本の司法の現状であり、当然の帰結か。
私は、この判決が、被告の手紙の内容がその発端にあるやうに
思へてならない。あの一件だけで、それこそ全国民規模で
彼への同情(未成年であるとか、環境であるとか)を寄せる気運が無くなつてしまつた、と。


それで、辯護団は荒唐無稽な論を展開せざるを得なかった。
辯護団の作戦だらうが、被告への一般的心象は益す悪くなつていつた。
一部死刑廃止論者は、この国民の耳目を集める裁判に絡め、自説をアピールした。
しかし、被告へのイメージが最悪である以上、それは逆効果ぢやなかつたか。
本村氏の戦ふ様に人が心を寄せるのもまた宜なるかな


繰り返すけど、最高裁の差し戻しから今回の判決は現状なら致し方ないかな、と思ふ。


私自身、死刑は廃止されるのが望ましいと考へてゐるのだけれど、
一部廃止論者がいふやうな、現状の司法を捻じ曲げて、「死刑は残酷だから云々」
といつて死刑回避とするやうな論には與できない。
その論理展開では死刑廃止は遠のくばかり。この裁判なんかは特にさう。
死刑廃止するなら、政治的に盛り上げていくのが定法。
廃止議連の皆様方も直線的な活動で、非効果的に映るけどな。


日本の治安はまだまだ良くて、現状不満でないなら、変へる必要もなからう。
実際の所そんな程度に、日本人の9割が死刑賛成してるんだらう。
でも、この裁判で、死刑積極支持層も増へたかもしれない。
まあ一時はさうであつても、今日のやうに一人一人が何か思ふ事ができれば、
今はいいのかもしれない。